「家づくりの方針のつくり方」でも書いたように、最初に方針を定めておくことで、その後の選択や判断にブレが出にくくなり、家づくりがとてもスムーズになります。
とはいえ、我が家の場合も最初からすべて明確だったわけではありません。最初にしっかりと方針を決めたつもりでも、進める中で迷ったり、方向修正が必要になったこともあります。それでも、早い段階である程度の方針をもっていたことで、大きな迷走を避けられたと思います。

モチベーション(Why)
これまでの価値観や経験、そして現在・将来の生活課題をふまえて、家づくりに込めた思いを書き出しました。
■ 価値観・好み
家づくりの持つ社会的意義に期待している。
人生で最大のお金の使い道。どのように家を建てるか、どのような家を建てるかは社会への投票だと考えている。
人と自然のより良い関係を築きたい。
自然と共に、健やかに暮らしたい。
■ 住まいに関する経験
自宅リノベーションで自然素材の心地よさを体験。
温熱環境の改善も経験済み。さらなる改善も求めたい。
住宅の仕事を通じて、化学建材を控えることのメリットを実感。
造園の仕事から、土中環境の改善が住まい全体の快適さにつながることを学んだ。
伝統工法や古くからの造園技術に信頼を置いている。
■ 生活課題
共働きで忙しい日々。子どもたちと触れ合う時間を増やしたい。
都内で広めの敷地のため、将来的な相続への配慮が必要。
親の老後、そして自分たちの老後を見据えた備えが必要。

プロセス(How)
どのように家づくりを進めたいか。プロセスそのものにも求めたいものがありました。
■プロセス
地球と共生する家のあり方を形にしたい。
環境・健康・快適さ・(長期的な)経済性を同時に追求できることを示したい。
化学建材の使用を普段から控えている工務店で建てたい。
子どもたちにも家づくりを体験させたい(製材所や工事現場見学に連れていく)。
丁寧につくってもらえる人にお願いしたい。

実現イメージ(What)
どんな暮らしをしたいのか、どんな家で暮らしたいのかといったイメージです。
■ 暮らしのイメージ
子育て期は2階建て部分に、老後は平屋部分に住む。世代交代にも対応できる住まい。
二世帯が独立しつつも助け合える間取り。
手触りのある自然素材に囲まれて暮らす。
温度・湿度の変化が緩やかな室内環境。
丁寧につくられた家に愛着を持って暮らす。
電気・給湯をなるべく自給したい。
忙しい生活でも余裕を持てるよう、家事ラクな間取り・設備に。
土や植物に日常的に触れられる庭のある暮らし。
緑豊かで、雨でも水たまりができず、乾燥時も埃っぽくならない外環境。
■ 家のイメージ
化学建材を極力避け、解体時に再利用可能か土に還る資源(地域の木材、土、金属、ガラス)を活用。
自宅リフォームで使用して後悔したアルミサッシの使用は避ける。
土壁+セルロースファイバーの外断熱で温度変化、湿度変化を緩やかに。
職人による丁寧な手仕事。
長寿命製品を選び、短命な設備はできるだけ避ける。
子世帯は2階建て、親世帯は平屋で一棟に並列配置。内部で行き来可能。
庭とつながる間取り。必要な場所に必要な収納。
食洗機・ガス乾燥機など家事ラク設備を導入。
給湯は太陽熱温水器、電力は太陽光+蓄電池でまかなう。
共有登記の二世帯住宅。
■ 場のイメージ
緑に包まれた環境
多摩地域の所有地
(※土地は購入していないため詳細は省略)
以上が、我が家の家づくりに向けた方針です。あくまで数ある家づくりの中での一例ではありますが、これから家づくりを検討される方の参考になれば幸いです。